長谷川電機工業株式会社

会社案内

人工地絡試験が不要なωC測定式ディジタル地絡継電器
長谷川電機工業は、6.6kV 非接地配電系統の地絡継電器において、今まで不可能であった整定値を自動的に適正値に変更する新しいディジタル地絡保護継電器を実用化させました。人工地絡試験が不要となり、労務費の削減および安全性の向上につながります。
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【ωC測定式地絡保護継電器の主な特徴】
6.6kV非接地配電線系統での地絡継電器整定は計算で正確に算出することは難しいが、配電線の対地間静電容量を測定するため、正確である。
人工地絡試験(人工接地試験)を必要としないため安全である。
配電線の系統変化などによる整定作業が不要となり労務量が軽減される。(定期的に自動演算および自動整定)
雷害等によるアーク地絡時の不必要動作の解消。

【従来の地絡継電器整定について】
日本の 6.6kV 配電線については非接地回路で構成され、万一地絡状態となっても、大きな電流が流れず火災などが発生しにくくなっています。一方、非接地回路とすることにより、地絡検出整定を計算で正確に算出すことが難しくなるという問題が発生しています。これまで、正確に整定値を算出するためには人工地絡試験(活線作業)を行うしかなく、危険と隣り合わせの作業が必要でした。

【開発したディジタル地絡継電器について】
私たちの開発したディジタル地絡継電器は、今日まで計測不可能であると思われていた6.6kV 非接地配電線の対地間静電容量(充電電流)を測定でき、 定期的に測定・演算することで自動的に整定値を適正な値に変更します。
このことにより、系統の変化などによって対地間静電容量(充電電流)が変化しても危険な人工地絡試験が必要でないため、安全であり、自動的に適正値に整定できることから労務量も軽減することができます。
なお、この新しいディジタル地絡継電器の精度としては、工場出荷時の単体の静電容量(ωC)測定では5%以下、人工地絡試験との差はおおよそ10%以内*1という精度を有しており、雷害等によるアーク地絡時の不必要動作も解消されました。
*1:条件によって変わります。

【基本原理】
対地間静電容量(充電電流)の測定は、接地形計器用変圧器EVT(旧:GPT)の三次側制限抵抗値を変化させると V0 の位相角が変化することを利用して精度良く測定し、 自動的に測定・演算・整定することでV0 の変化を検出して継電器を動作させています。

【新しいディジタル地絡継電器開発の経緯および過程】
ある時、人工地絡試験時に事故(人災)が発生し、"この事故を二度と発生させないためにはどうすればよいのか?"という思いから"対地間静電容量を測定できないか?"と東北電力株式会社殿から相談があり、1989年(平成元年)から共同研究がスタートしました。上記のように、非接地配電線においては整定値を計算で正確に算出することが難しいため、正確な値を整定するには人工地絡試験が必要となります。当初はV0が小さな領域では精度良く測定でき、V0が大きな領域ではうまく測定できず苦労していました。しかし、努力と工夫から精度良く測定する装置を完成させることができました。 数年間のフィールド試験を経て、新しいディジタル地絡継電器の開発が完了しました。フィールド試験においては、従来の地絡継電器と新開発製品との動作比較を行い、従来製品で誤動作していた雷害などにおいても誤動作しない製品とすることができました。また、従来の地絡継電器と回線選択の方向地絡継電器(DG)の組み合わせでは、各相の地絡感度を揃えることはできませんが、各相の地絡感度をそろえることが出来るようになりました。 新開発のディジタル地絡継電器は、約9年もの長い研究と数年間のフィールド試験から高性能の新しいディジタル地絡継電器を実用化させることが出来たのです。現時点(2008年現在)での問題点として、同一母線に接地形計器用変圧器EVT(旧:GPT)が二台以上設置されていた場合、測定誤差が大きくなることがわかっています。この件につきましては実系統において調査研究しており、現在は解明されつつあります。

【ωCシリーズでの主な機能】
対地間静電容量の測定
位相の検出
地絡の検出(64S、64L、64H、64B)
電圧の検出(27、84)
通信機能
装置点検(自動及び手動)
備考:機種により上記組合せが変わります。組合せの変更、追加なども可能ですので、弊社営業へお問合せ下さい。

【注意点】
対地間静電容量(充電電流)の測定を行うためにはEVT(旧:GPT)のインピーダンス測定が必要になります。詳しくは弊社営業へお問合せ下さい。


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